発達障害「グレーゾーン」

精神科医の岡田尊司先生といえば、発達障害の治療における第一人者として知られる方です。その岡田先生の『発達障害「グレーゾーン」』というご著書をご紹介いたします。発達障害ではないかと悩んでいる人やわが子が発達障害かもしれないと心配している人は、本書をぜひ読まれることをおすすめいたします。いま、発達障害の診断基準を満たさないグレーゾーンの事例が増えています。グレーゾーンの場合、発達障害と診断されないので「様子を見ましょう」といわれ、本人も家族もどうしたらよいのかわからないまま生きづらさを抱えて過ごしているケースが多いようです。そのような人に役立つのが本書です。

障害未満なのにこんなに生きづらいのはなぜ?

こだわり症やコミュニケーションの障害などの生きづらさを抱える人のなかには、発達障害の傾向があるものの、診断基準を満たすまでではなく、いわゆる「グレーゾーン」に該当する人が多いことがわかってきています。グレーゾーンは症状が軽いということであるから、問題ないと考える医師や教育者が多いようです。しかしながら、様子を見ているだけでは悪化する恐れもあるのです。それから、ADHDに関しては、疑似ADHDの問題もあります。本当のADHDではなく、愛着障害を背景とする疑似ADHDは、大人に多くみられるものです。これに限らず、グレーゾーンの人は、愛着障害や心の傷を抱えている人が多いのです。このようなケースも発達障害とは診断されず、生きづらさを抱えて苦悩しているのです。こういった人に本書は非常に役立ちます。こだわり症や執着症の人も、自閉スペクトラム症の診断基準を満たさないグレーゾーンが多いため、見過ごされています。このような人々は、自分の特性を理解し、長所を生かす生き方の工夫をしていけば、個性を生かし、生きづらさを脱却できるのです。本書はそのための手引書となります。

発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法 (SB新書)

HSPと不安型愛着スタイル

過敏で傷つきやすい傾向がある人はHSPの場合と、不安型愛着スタイルの場合があります。『発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法』では、感覚過敏の改善と克服のためには、愛着関係が重要であることがわかってきています。良き理解者や治療者の存在によって、愛着の安定化がもたらされることで、脳内からのオキシトシンの分泌が改善すると、感覚過敏の改善につながる仮説が本書の中でも紹介されています。過敏な傾向は過敏な認知とも結びついているのです。他者に対する過剰な気づかいや配慮と一体になっていることが多いそうです。その結果、他者の評価に支配され、他者を基準にすべてを考えてしまうようになる場合も多いのです。そうした認知の歪みをトレーニングによって変えていくことができるのです。自分の視点だけではなく、物事を俯瞰し、第三者の視点で状況を観察できる訓練が有効です。相手の視点で起きている出来事を見るトレーニングをすることで、自分のとらわれに気づき、その束縛から、しだいに解放されていく中で、もっと楽に生きていけるようになるのです。より詳しいことは、ぜひ、上記の書籍をお読みください。さらに具体的な克服法がわかりやすく学べます。また本書では境界知能と学習障害の問題についても詳しくとりあげられています。これらもまた適切な克服法が存在しているのです。一人でも多くの人が本書を読まれ、自分と周囲の生きづらさを救って頂けることをせつに願っています。

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