アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症と対人スキル

アスペルガー症候群の人は、対人関係が苦手で、社会生活がうまくいかない悩みを抱えることが多いです。しかしながら、幼少時にアスペルガー症候群の傾向がみられても、成長とともに、その傾向が目立たなくなり、成人後にはまったくそれとわからないレベルまで良くなる人もいます。このように成長につれて改善していく人の場合、家族による理解と支援がしっかりとできているという特徴があります。家族が本人を否定せず、個性として承認し、温かく見守りながらも、少しずつ対人関係のスキルをレベルアップできるように働きかけた結果です。

自閉スペクトラム症とアスペルガー症候群

新しい診断基準では、アスペルガー症候群は、自閉スペクトラム症に含まれる形になりましたが、アスペルガー症候群というとらえ方は、非常に便利であり、問題解決をしていくうえで有効と考えられます。アスペルガー症候群の人は、自分の関心がある分野への集中力が高く、それが受験勉強などに向かうことで、学力向上して、東大や京大や医学部などの難関大学に合格できたりすることもしばしばみられます。ところが、対人関係においては空気を読むことが苦手であったり、細かなことにこだわりすぎる傾向があったり、些細なことが気になって、いつまでもそのことにとらわれているなどの、問題があるので、学校生活で、友達とのコミュニケーションがうまくいかず、孤独になったりすることも多いです。学校生活ではそれでもなんとか乗り越えられますが、今度は、社会に出たら、職場での人間関係でさまざまなストレスを抱えてしまうことになりがちです。医師などの専門職に就いている人の場合、比較的、こうした困難は小さいですが、それでも患者との対話において、誤解などのトラブルの原因になることもあります。中高生ぐらいから大学生ぐらいにかけての年齢であれば、アスペルガー症候群の人は、自分の傾向をしっかりと認識して、客観視できるようにしていくことで、困った傾向を少しずつ緩和していくことは十分に可能です。

自分の思考パターンの傾向を分析し、改めるべき方向性を確認する

家族によって否定的な扱われ方をすると、アスペルガー症候群の人は、良い方向に向かうことができません。親兄弟姉妹などの家族による勇気づけなどの心理的なサポートは非常に重要です。家族にしっかりと愛されているという感覚は、愛着障害を予防し、安定した愛着を育てます。成人後にほとんど治ってしまったかのようになるアスペルガー症候群の人は、例外なく、家族による温かい見守りとサポートがあり、会話においても勇気づけ、肯定、承認、傾聴などの適切なかかわり方が守られているのです。そして、本人も、アスペルガー症候群について、本を読んだりして、深く理解し、どのような傾向があり、どうすればそれを緩和できるのかを把握していることが大事です。細かなことが異常に気になるという傾向があるとすれば、そのことを本人が自覚し、それを少しずつ緩和していこうと、自分の意思で思い、それを心がけとしてふだんのくらしの中で意識化して、対人関係の中で自己訓練を重ねていくことが、大切です。あるいは空気を読めないという傾向があるとすれば、これも本人がそれを自覚し、たえず、周囲の人の心情に意識を向けて、配慮するという対人スキルをパターン認識として、学んでいくことで、しだいに、空気が読めているかのようなふるまいができるまでになるのです。

アスペルガー症候群の対人スキルは訓練次第で伸ばせる

対人スキルというのは、一定のパターン認識でも習得ができますので、アスペルガー症候群の人でも、ロールプレイング方式での事例研究などをすることで、少しずつ身に着けることもできるのです。しばしばみられるケースとしては、アスペルガー症候群の人が読書家で、純文学などの作品をたくさん読みこんでいくうちに、その小説の中で登場する、恋人同士の会話、親子の会話、兄弟姉妹の会話、会社や職場での会話といったさまざまな対人関係の会話の様子をしだいにパターン認識して習得していくことで、本人の日常生活の中でも、しだいに対人スキルが向上していくケースです。純文学は、人間の心情や考え方の様式を細かく文字で表現している作品ですから、たくさんの純文学の小説を読みこんでいくうちに、アスペルガー症候群の人は、パターン認識という角度から、こうした事象を吸収していき、自分の対人スキルとして使えるようになっていくと考えられます。ですから、自分にはアスペルガー症候群の傾向があるかもしれないと思う人は、できるだけたくさんの純文学の小説を読んでみるのも一つの方法です。あるいはもっと直接的に、対人関係スキルについて述べられた本を何冊も読んで学ぶのも良いことです。学んで吸収したら、それを実際の場で使って練習重ねていくようにするとよいでしょう。

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