日本有数の小児科の医師であり「真っ当な日本人の育て方」という著書もある田下昌朗先生は、日本で最初に愛着障害の問題について啓蒙活動を始められた方です。小児科の大御所であり、幼児教育の権威でもある田下昌朗先生はボウルビイ博士の研究などを紹介し、古い子育て学がいかに間違っているのかを啓蒙し続けてこられました。豊かな情緒と道徳心をもった良い子を育てる最短の方法について、田下昌朗先生は「親の愛を与える」ことにあると指摘しておられます。メンタルを病む人が増加している理由の一つに、愛着障害の増加があるのです。
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共感的、受容的に育てることで愛着障害を予防できる
教育や子育ての極意、それは親の愛を与えることだったのです。子供を無条件に愛し、抱きしめ、微笑んで包み込む親の愛情こそが、子供の精神を高め、素朴で素直な円満な人格に育てるのです。現在のように母親が子供を置いて働かねばならない社会は、子供の人格形成を損じ、破綻させている危険な社会です。四歳までは母親の絶対的な保護、愛情による保護がなければ、子供は健全に育たないのです。そのことから、早期に保育施設に子供をあずけたり、ベビーシッターにあずけることがいかに危険なことであり、子供の人格を破壊する暴力であるかがわかります。このような親学を学校でも教えるべきであり、そうすれば犯罪者や暴力組織に引き込まれる若者は次第に減り、高い道徳性の若者が育つ日本となるのです。かつて親学を普及させようと政府が動き出した時、左翼的な団体は一斉に猛反対してその案をつぶしました。親学は愛着障害を予防するためのノウハウとして小中学校で子供に教えられるべき学問なのです。
国の支援も保育園の拡充ではむしろまったくの逆噴射
早期保育の充実よりも母親が家で子供と四歳まで過ごせるように各家庭に経済的支援をすべきなのです。子育ては国家の一大事です。高い道徳性のある人格円満な国民がたくさん育つことは、日本の国力を高めることにつながります。母親が安心して子供と長く過ごせるように、国は環境を整えるべきで、保育園などむしろ不要なのです。少なくとも四歳までは母親が子供にぴったりと寄り添い、愛着障害にならない適切な母子関係を構築し、絵本を読み聞かせ、ひらがなやカタカナを教えて、毎日何度でも微笑み、抱きしめ、愛情を伝えるべきなのです。今の日本の方向性はまったく間違っていることがわかります。母親が幼児を施設に預けて労働者として社会に出ていく姿は、本来の理想の親子の姿とはいえません。子供を愛着障害にする恐ろしい在り方なのです。しかし、これは社会の仕組みを改善させないと改められません。
愛着障害の増加で日本の高い道徳レベルが壊れる
愛着障害の増加は、国の安定を揺るがせる重大問題です。千葉商科大学学長、経済企画庁経済研究所客員主任研究官などもされ、2001年9月より五年間、内閣府特命顧問を務めた島田晴雄氏は、著書「日本の壊れる音がする 今ならまだ間に合う!」の中で、子供手当てや高校無償化の政策は、経済効果はまったく逆効果にしかならないと書いておられましたが、今になってみれば、そのとおりであったとわかります。これから大増税が始まることで、経済が劣化し、日本崩壊のシナリオが進んでいくと主張されていますがそのとおりになりました。2010年の6月末に出た本ですが、現在の状況をことごとく予言した内容になっています。きわめて正確に予知、予測をしているのです。本当の意味で、日本を救おうと、私心を捨てて団結しようとしている政治家も少数存在しますが、多くの議員はいまだ、本気で日本を救おうとしていないように感じられます。必要なことは、早期保育の充実ではなく、母親が子供といっしょに家庭でおだやかに過ごせる社会です。一億総活躍社会というのは全員が労働者になる社会のことなのでしょうか。それでは子供に誰が愛着を教えるのでしょうか。