発達障害といえば、アスペルガー症候群とADHDが代表的です。この二つでほとんどを占めていますが、アスペルガー症候群と、ADHDでは、傾向が大きく違います。アスペルガー症候群には、学習能力が高い人がわりと多いです。学校のテスト勉強や受験などでよい成績を収めるケースがしばしばみられます。一方、ADHDは、学習における障害が顕著です。お勉強が苦手で、一人で学習することができないため、学校の成績は低くなりがちです。いずれも対人関係の構築が苦手なため、友達ができにくかったり、変わり者として、周囲から距離をおかれたりします。社会に出ても、会社などで対人関係がうまく構築できないので、しだいに出社拒否になったり、うつ病を発症したりします。うつ病の多くに発達障害の患者が含まれていることがわかっています。この発達障害ですが、脳機能そのものがアンバランスな発達であり、未発達な部分が障害の原因であると考えられます。未発達な部分をトレーニングで発達させられるのではないかと考える人もいますが、実際にはできないことは「すぐには」できないと考えたほうがよいです。
発達障害の人に適性に合わないことを無理にさせると、うつ病などになりやすい
苦手なことに無理やり取り組まされると、メンタル不全を起こしやすいのが特徴なのです。会社などで、発達障害の傾向がある社員がいたら、上司や先輩は、無理な仕事をさせて鍛えるのではなく、その人がこなせる内容だけをさせることで、次第に会社に適応していけることも多いです。能力を超えることを強制されると、ついていけなくなるのです。どんな人にも、必ずその人の得意分野があります。特にアスペルガー症候群では天才型も多く、常人ではまねできない長所を持っている人もまた多いのです。その長所を上手に伸ばしてあげるように周囲がサポートすれば、発達障害のマイナス症状は次第に目立たなくなり、人間関係も少しずつ育っていくようになります。いかに両親や家族、職場の人々が発達障害について理解しているかが大切だということです。理解者が周囲にいれば、発達障害の人は才能を伸ばして、幸せになることも十分に可能です。そして、次第に未発達な部分も育ち、人間としての総合力がじょじょにでも成長することは可能なのです。