働く人のための精神医学

この本は、一冊の新書版の中に、精神医学の全領域を一般人にもわかる形で網羅し、できるだけ専門用語で混乱しないように配慮され、非常にすばらしい本です。経営者、管理職、自営業、コンサル業、カウンセラー、セラピスト、接客業全般といった職種の人、それから教師、教育事業家などは必携の本だといえるでしょう。本書では、いちばん最初に愛着障害に関する話題から開始しています。ここに著者の精神疾患すべての背景にある愛着障害の問題の重要性への理解がかいまみえるのです。その次には、発達障害に一章を設けています。発達障害の増加により労働現場での配慮は必須となっているのです。その次の章ではパーソナリティ障害を扱います。いわゆる人格障害のことですが、これも職場環境のかく乱因子として、重要になっている問題です。

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大人の発達障害

その後、ストレス、うつ、不安障害、依存症と解説が進み、読了するころには、精神医学について、基本がわかったという感じになるはずです。もちろん、医師や看護師など医療従事者にもお勧めの本です。知識を整理し、活動の幅を広げてくれる好著です。医療従事者ではない人にとっては、一読しただけでは覚えられないかもしれませんが、二度三度、読み返せば大丈夫でしょう。またデスクに必携して何かあれば、該当箇所を読み返すようにも使えます。ぜひ知っておきたい精神的疾患や心のトラブルのことを理解すれば、職場環境を整えて、トラブルを防止することができるでしょう。また、対人関係にこの視点をもつことは、スムーズな対人交渉を実現します。愛着障害、発達障害、パーソナリティ障害などは、勉強しない限りは、まったく知らない情報でもあります。知っておくことで、災いを未然に防止することになるのです。

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