発達障害の症状を悪化させる愛着障害をいかに防止するか

目次

自閉症スペクトラム障害と愛着障害

自閉症スペクトラム障害という呼称でまとめて扱われるようになった発達障害ですが、
愛着形成において、両親が共感的、受容的に育てることができないと愛着障害となります。
愛着障害を伴うことで発達障害の症状は増悪することがわかっています。
つまり、アスペルガー症候群であろうと、ADHDであろうと、愛着障害を合併すると
いっそう重くなり、改善されにくくなることは間違いのないことなのです。

児童虐待や育児放棄の問題が日本においても増加していますがその背景には、子供に
自閉症スペクトラムの傾向があるために両親がどう扱ってよいかわからなくなるケースも
含まれていると考えられています。

虐待やネグレクトなどの被害者となる子供たち

虐待されて育つ子供の情緒はゆがみます。その結果、
愛着障害とよばれる心理状態が慢性化していくのですが、そのために発達障害の
症状もいっそう増悪していくことになるのです。

愛着理論を実際の臨床場面で活用できる心理士はいまだ不足していますが、本来は、
学校教育の場や保育所、幼稚園などでも、愛着障害の防止策が広く啓蒙されるべきです。
家庭における保護者の共感的、受容的な子育ての普及の啓蒙活動も大切です。

これからの幼児教育や幼稚園、保育所などでの保育従事者への心理療法の知識の普及は
必須となってくると考えられています。そして、精神科領域、診療内科医領域で、
愛着障害という視点をもって患者に向き合うことは、不可欠のものになりつつあります。

愛着障害の傾向をもつ人が増加している

病的でない軽度のものまで含めると愛着障害を持っている人は三人に一人といわれています。
医療従事者や介護職、そして、保育所、幼稚園、学校関係者や教育事業にかかわる人、
さらには企業経営者や人事管理にかかわる人、営業職まで、
この愛着障害の概念を理解することで、さまざまな問題やトラブルの防止が可能となります。

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